Fate/Grand Orderの話をするとしよう

ゲームはヘタクソでも計画と計算でFGOを楽しんでいく記録

selector infected WIXOSS 第1話から第6話までの作品世界の秩序についての整理

今季もいよいよ中盤にさしかかり、1クール作品はどれも、あるは地獄、或いは修羅場、乃至煉獄の様相を呈しています。
そろそろ物語がどこを目指しているのかも見えてくる頃だと思うので、楽しんで見る為にも少し整理したいと思います。
とは申しましても、私は見ている作品数は少ないですし、その中で敢えて一つ挙げるとすれば、selector infected WIXOSSですね。
特に理由らしい理由はありませんが、強いて言えば、単に暗いだけの話とも思えないので、その理由を書いていきます。

結論

WIXOSSバトルはこれからもセレクターの少女達を苦しませるでしょうが、たどり着く結末は、彼女たちが元々持っている「強さ」によって単に暗いだけのものにはならないと思います。
それが私がこの一見救いのないアニメを見続けていられる理由だと思います。

あとるう子の脚がエロい。

killy killy JOKER (TVアニメ「selector infected WIXOSS」オープニングテーマ) (初回限定盤)

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前提

まず、このアニメはWIXOSSと呼ばれるカードゲームを題材にしたゲームです。
アニメの商業的な面での目的は、WIXOSSのカードゲームとしての普及にあります。
勿論、作品の面白さと、商業的成功を犠牲にしてはいけない訳で、この不況のご時世、そこのところは割と厳しく作ってあると思います。
アニメ自体が売れなくても、代わりにカードゲーム自体が売れれば、それはある意味で成功です。
アニメにはそういった制約はある筈なので、物語の結末で登場人物が破滅して、WIXOSSのカードを燃やすとかいう、スポンサーに不利になるような結末は(普通は)ありえないんですね。

WIXOSSのルール

私自身はカードゲームをしたことが無いので、まずは公式の説明を見てみましょう。

【勝利条件】
相手のライフクロス7枚を削り、とどめをさせば勝利!

 簡単に言うと、8回攻撃を通せば勝利ということですね。
ルリグやシグニで攻撃していく度に、ライフクロスは削られていきます。無防備になったルリグに、直接攻撃を与えれば勝利となります。

http://www.takaratomy.co.jp/products/wixoss/column/play_140314/

読んでもルールはよく分かりませんが、このルールで物語の結末に直接影響を持つようなものは無さそうですが、とにかく「先に殴ったもん勝ち」というまことに雑な理解で良さそうです。

アニメのルール

アニメにもカードゲームと同様にルールはあります。
たまに支離滅裂なのもありますが、こと脚本の岡田麿里さんに関しては、これまでの実績から、作品世界のルールに則って緻密に話を薦めていくはずです。

以下第1話より抜粋

遊月「説明してあげよう。」
遊月「セレクターっていうのは、無限少女を目指して戦うWIXOSSプレイヤーのこと。」
遊月「バトルに勝てば、プレイヤーは理想の自分になれる。」
遊月「その姿こそが無限少女。」
るう子「願いが叶うってこと?」
遊月「ま、そんなもんかな。」
花代「厳密に言やあ、ちょいと違うね。無茶な願いや夢も可能にする、『自分』になれるってことさ。」
花代「どんな夢でも願いでも可能にする、なんて、そりゃ幻想さ。でも、この『カード』はそいつを可能にする。」
花代「その為には、バトルに勝ち続けなくちゃあならない。だけど、この意志あるルリグを持ったカードは、誰もが持っているものじゃあないんだ。」
花代「選ばれた少女、セレクターだけ。」

花代「ただ、これだけは忘れちゃいけない。バトルに3回負ければ、セレクターとしての資格を失うんだ。」
るう子「資格を?」
花代「3回負けた時点であたしらは消える。あんたらの願いは叶えられることなく、無限少女の座を賭けたWIXOSSの世界は閉じる。」

以下第2話より抜粋

花代「あの時、バトルを止めたのは香月じゃなく教師だろう。」
花代「カードの仕組みを知らない、全く関係のない人物が乱入したからこそのイレギュラーだ。」
花代「それに、意図的にバトルを止めてしまえば、大きなペナルティがある。」

以下第3話より抜粋

緑子「フィールドは、対戦者同士の相性を映し出すんだよ。」

緑子「セレクターが、無限少女に近づけば近づくほど、僕らルリグも、能力を得て、強くなっていくんだ。」

ピルルク「無限少女になるには、勝利だけでは足りない。それぞれの願いに合わせた条件が必要になる。」
晶「だから、そいつを教えろっての。」
晶「言えよ、でないと、破るぞ。」


以下第4話より抜粋

緑子「そっくりだね、タマとるう子。」
緑子「一衣の願いは、もうこれ以上、バトルをしなくても。」
花代「いいのかい?本当にそれで。」
緑子「ああ。」
花代「でも、それじゃあんた…」
緑子「いいんだ。」

緑子「僕、一衣のルリグじゃなければよかったな。」
花代「それは言わない約束だよ。」
緑子「だよね。」


以下第5話より抜粋

緑子「3回勝つと、無限少女になれるって言ったよね。」
緑子「逆に、3回、負けてしまったら…」

花代「3回負けると、願いが叶わなくなるだけじゃない。」
花代「その願いが、マイナスにまで落ちるんだ。」

花代「例えば、富を得たいと思ったとする。」
花代「バトルに負ければ、持っていた全てを失い、貧しさに喘ぐことになる。」
花代「例えば、ピアノがうまくなりたいと願ったとする。」
花代「弾けるピアノを失うか、弾ける体を失うか、とにかく、ピアノを失う人生を送る。」

花代「一衣の願いは、『友達が欲しい』だった。その願いがマイナスになるということは」
るう子「友達を…失う?」
花代「それだけじゃない。二度と友達が作れなくなる。さっきの一衣を見ただろう。」
花代「きっと、友達になりそうな因子を持つ人間に近づくと、激しい身体的苦痛を感じるようになったんだ。」
花代「そして、3回負け、願いを賭けたバトルが終了してしまえば、セレクターとして関わった出来事は、全て忘れてしまうんだ。」

花代「セレクターの戦いでもたらされた結果は、叶った願いも、叶わなかった願いも、もう覆すことはできない」

緑子「空が曇ってしまったね、一雨来そうだ。」
緑子「僕に泣く資格は無い。君の、大切な願いを奪ってしまった僕には。」

上記の発言から、WIXOSSバトル、セレクター、ルリグには以下のような特性があると考えられます。

バトル

  • バトルは「フィールド」で行われる
  • フィールドは、対戦者同士の相性を映し出す
  • 「意図的に」バトルを止めると、ペナルティがある


セレクタ

  • 3回勝つと、無茶な願いや夢も可能にする『自分』(無限少女)になれる
  • 3回勝っても条件が揃わないと願いは叶わない
  • 3回負けると、「WIXOSSの世界は閉じる」
  • 3回負けると、願いがマイナスになる
  • 3回負けると、「セレクターとして関わった出来事」を忘れる
  • セレクターは別のセレクターの「結果」に対して介入できない

ルリグ

  • 3回負けるとカードの中から『消える』(代わりに現実世界に出られる模様)
  • セレクターが無限少女に近づくほど能力を得て強くなる
  • ルリグにはセレクターがバトルを行わず、自分自身を破棄するよう促せない、ある「約束」を持っており、ルリグ同士はそれを共有している

ここから見るに、WIXOSSバトルのルールは、世界に干渉するのではなく、セレクター自身の内面のみにしか干渉できない特性を持っているようです。
例えば、バトルにはどこにもバトルを監視する第三者がいない(ように見える)のに、プレイヤーとしてのセレクターはルールを順守し、観戦しているプレイヤーにすら「意図的に」という極めて内面的で客観的判断の下しにくい基準を持っていることから、WIXOSSバトルはセレクター自身の精神にのみ干渉し、且つルリグ自身が逆らえない命令の下で動いており、セレクターの指示はそれを覆せないということが示唆されます。

るう子の特異性

「願いが無い」ということが作中で何度も言われており、それが幼児期の母親との関係に悪影響を及ぼしたようですが、彼女に関しては、「WIXOSSをやること」そのものが「願い」であり、彼女自身も、祖母譲りのゲームの才能があるという、規格外の存在というのが正確なところでしょう。

伊緒奈「どうして、お礼言うの?」
伊緒奈「戦いたかったんでしょ?」
伊緒奈「ほんとは晶と戦いたかった――ううん、誰とでもいい、WIXOSSがしたかった、しかも真剣な――そうでしょう?」
伊緒奈「私と、したい?」
伊緒奈「あなた、願いが無い。願いも無い人が、セレクターとしてWIXOSSをやるなんて…冒涜、赦されない。」

伊緒奈「あんたみたいなヤツに、セレクターバトルを汚してほしくない。」

作中ではもう一人規格外の人間らしい浦添伊緒奈が存在していますが、こちらは何か潔癖さを求めている節がありますし、願いもそれに沿ったものでしょうし、るう子の不安、「この街ごと消えちゃう」に親和の高そうな彼女がもしボスの役割を果たすのが妥当なところでしょう。
ただ、それは「自分の内面にのみ干渉する」ことしか出来ない筈(という私の予想)の無限少女の力を大きく外れかねないので、どういう形で発現されるかは、今はまだ伺いしれないですね。

ばあちゃん「そう、棒が入ったらね、この街ごと消えちゃうんじゃないかって」

ただ、花代さんの発言からは、内面以外にも影響を及ぼす可能性が示唆されていますが、それは一衣さんのように、「ピアノが知覚できなくなる」のような形で発現することもありうるので、断言は出来ないですね。

花代「弾けるピアノを失うか、弾ける体を失うか、とにかく、ピアノを失う人生を送る。」

外の世界

一方、置き去りにされていく周囲の人間、るう子であれば、遊月、一衣、そして母親、遊月であれば、香月(そして似たもの同士である晶)、一衣であれば家族、晶であれば、仕事とそのスタッフ達との関係に支障を来している現状が、今後どうなるか。

それについては、割と楽観視できるんじゃないかと思ってます。

理由は、WIXOSSによる影響は内面のみの影響にとどまっており、セレクター達が抱える問題と同様に、内面で乗り越え、解決し得る可能性を示唆しています。
一衣の場合は、勇気を出して友達を作ればいいだけだったのに、それが叶わない恐怖が勝っていた為に友達が作れないだけだったと思われますが、一方で一衣には晶にバトルを挑む勇気を持っていることから、一衣自身は元々持っていた「恐怖」がWIXOSSによって「苦痛」という形で具現化した今、それを乗り越える強さを持っていると思われます。
遊月の場合は、もっと単純で、香月を押し倒せばいいだけです。今はそれをインモラルだ何だと言われていますが、バトルに3回負ける以前に割と追い詰められていますから、どーんとやっちゃえばいいのです。

あとは、ルリグは今のところ、デッキの中に入っていて、なおかつ、「ルリグの入ったデッキ」はセレクターではない人物から間接的に手に入れたものであるようです。(るう子であれば兄から、遊月は香月から。)それがWIXOSSがカードバトルである特性、「人とのつながり」を大事にしている事の証左だとすれば、この物語は、人と人の繋がりを断ち切るだけの物語になるようには思えないのです。

とりあえずのまとめ

以上の事から、WIXOSSバトルはこれからもセレクターの少女達を苦しませるでしょうが、たどり着く結末は、彼女たちが元々持っている「強さ」によって単に暗いだけのものにはならないと思います。

タマ?「私は、あなたの思いを叶える」
タマ?「たとえ、誰かを傷つけても」
タマ?「たとえ、自分を傷つけても」
タマ?「だからお願い、その思いが叶った時には」
タマ?「どうか、あなたは、笑ってほしい」